バウルとは

バウルとは

インドの西ベンガル州及びバングラデシュ(ベンガル地方)の放浪の吟遊詩人、とも呼ばれる、遊行の行者。独特の哲学を反映した詩を歌い、舞い踊る。その精神的な祖先は、8世紀の仏教遊行僧の詩集、「チャリャー・ギーティ[遊行者の歌]」にも認められ、仏教やイスラム神秘主義、ヒンドゥーなど、様々な伝統の影響を受けながら、どの宗派宗教にも属さず、師弟相伝で受け継がれて来たといわれる。アジア初のノーベル文学賞受賞者であるタゴールの詩に影響を与え、彼によって世界に紹介された。2005年にはUNESCO無形文化遺産に登録。

パルバティ・バウルのインタビュー

バウルの楽器

アノンド・ロホリ(コモク)※準備中

シュリーコール※準備中

おすすめ書籍

大いなる魂のうた:インド遊行の吟遊詩人バウルの世界 パルバティ・バウル著(パロミタ訳)

パルバティ・バウルの著書でパロミタが翻訳した「大いなる魂のうた」は、2018年来日ツアーに先駆けてクラウドファンディングで日本語版が制作されました。

当時25歳だったパルバティ・バウルがバウルへと導かれた体験をベースにバウルについて語り、27篇のバウルの詩の訳も収録。本人の手による絵や版画もふんだんに使われています。
行者自身によるバウルの本は貴重で、英語で書かれたものとしては当時初めてのものでした。

ティラキタさんで扱っていただいています。たまに在庫が切れますが、だいたい数日内に補充しますので、その場合は少しお待ちください。

9つの人生(集英社新書) ウィリアム・ダルリンプル著 パロミタ友美訳

最終章の9章がバウルのカナイ・ダス・バウルとデーブダス・バウルに取材しています(パルバティ・バウルとも縁の深いおふたりで、パロミタ自身もうたを真教わったりとお世話になっております)。バウルを紹介する際に、出版以前から引用させていただいていました。バウルの取り組む霊性、かつての日本にも当たり前に存在していて、今の日本にも実はあるだろう世界が少しでも分かるようにと翻訳に取り組み、ご縁に恵まれまして2022年1月に集英社新書より出版されました。

英語圏のインド関係書籍ではベストセラーであり、ベストセラー作家ウィリアム・ダルリンプルの本の中でも最もインド人に愛されている本と言われています。

バウルを探して〈完全版〉 中川 彰 川内 有緒

バウルを全く知らない、という方にはまずこの本をオススメしていますし、この本でバウルを知ったという方も多いかと思います。

何も知らないところからバウルに興味を持った著者が、情報を集め、バングラデシュを訪れ、ほとんど体当たりでバウルを探しに行く。その過程は共感を呼ぶものでありながら、ミーハーな部分もありながら、絶妙に謙虚さを失わず、ひとりの人間として、人間であるバウルと誠実に向き合っていきます。

入門編として素晴らしい本だと思っています。
でもこの道を歩むひとりとしては、ここに留まらずぜひ更にバウルについて探し求めていただきたいとも願います。

ベンガル夜想曲―愛の歌のありかへ 内山 眞理子 

これは、多少ベンガルなりバウルのことを知っていたり、あるいはインドの田舎に住んだことがある方には特に響く本なのではないかと思います。

「夜想曲」とタイトルにあるように、ノスタルジーにどっぷり浸るようなところがありつつ、バウルについてかなり詳しく書かれていて、それでいながら詩的な構成で、郷愁のような感傷が引き起こされます。

タゴールの翻訳者でもある著者自らがベンガル語から訳したバウルの詩も数多く収録されていて、私の師匠の師匠のショナトン・ババや、お世話になっているカナイさんやデーブさん(上記「9つの人生」にも登場)もちょこっと出てきます。

上の「バウルの探して」は全く外から、ある種のミーハーから始まってやがて深い方へとバウルを求めていく話ですが、こちらはタゴールの翻訳者でもあり、既にベンガルの文化に親しみ愛している著者が、生活の中でのバウルとの出会いから、沖へ沖へとバウルを求めていく話で、ベンガルを愛する人ならではの慈しみと、憧憬があります。

ベンガルの人々にとってのバウルを、より実感を伴って感じられる本、と言えると思います。

「バウルを探して」からバウルに興味を持たれた方には、ぜひこの本をお勧めしたいです。

風狂のうたびと: バウルの文化人類学的研究 村瀬 智 (著)

これほど詳細なバウルのインタビューがいくつも載っている本は、英語でも中々無いのではと思われます。バウルにとても近しいところで研究を続けられた著者による本で、パロミタもゆかりのあるバウルのインタビューも載っています。

聖者たちの国へ―ベンガルの宗教文化誌 外川 昌彦

宗教に抗する聖者―ヒンドゥー教とイスラームをめぐる「宗教」概念の再構築 外川 昌彦

パロミタはインド側の、西ベンガル州でバウルを学んでいるので、どうしてもヒンドゥー的な要素が割に強い(少なくとも、モチーフとしてはそう見える)うたを主に教わっているのですが、

戸川先生の著作にはバングラデシュ側のファキール、つまりスーフィー(イスラーム神秘主義)寄りのうたや話が豊富に紹介されています。

バウルは宗教じゃないと言うけど、ほとんどヒンドゥーじゃん、ともしも思う方がおられたら、ぜひこれらの本をお読みいただきたきたいです。
(と言っても、研究書なのであくまでバウルの「宗教」と紹介されているのではありますが)

ベンガルにおいては、ファキール(フォキル)もバウルの一種であり、本人たちの自覚としても、ただスーフィーと呼ばれるのは違和感がある、という方もおられます。

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